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ナノカ・フランカ&アーチャー ◆Mti19lYchg 町の一角。深夜で人が寝静まった頃。 金属同士が触れ合う音、削られる音が響き渡る。 その原因である一軒家には『プロスペロ発明工房・方舟支店』の看板が立てかけてあった。 「わったしはっまち~の発明屋さん~。 家族ぐるみの後押しが~。 明るいあしたを呼んでいる~」 家の厨房内にちょっと調子の外れた歌声が響く。 「そろそろですね。スラッシュ、ナノカさんを呼んできて下さい」 歌いながら調理をしていたメイド服の少女は、側でうずくまっていた黒豹に話しかけた。 スラッシュと呼ばれた黒豹はのそりと起き上り、騒音が発せられている現場に向かった。 「かが~くの光で世界を照らせ~。 だ~けどマズイね~、チェレンコフ光~」 工房の内部では、やはり調子の外れた歌声が響いていた。 中央にはオープンカーが鎮座し、その真下に歌い手が潜り込んでいる。 「おーい、ナノカ。メシができるとよ」 「うーん、もうちょっとー」 自動車の底から、声が返ってきた。 「配線をつないで……よし、完成です!!」 バタン、と閉める音が鳴り、車の下から1人の少女が姿を現した。 白地に青のラインが入った服。その上に貫頭衣の様に首から通したタブリエを、ベルトで腰に止めている。 さらにポニーテールにしても腰まで届く赤い髪が目を引く。 少女の名前は“ナノカ・フランカ”。聖杯戦争のマスターであり、弱冠14歳で幾多もの発明をした工房士である。 「じゃ、ご飯にしよっか」 「その前に風呂に入って来いよ。顔がすげえことになってるぜ」 スラッシュの言う通り、ナノカの顔にはオイルがかかり真っ黒に染まっていた。 「はーい」 と、明るく返答しナノカは風呂場へと駆けていった。 10分後、一人と一匹はリビングに現れた。 メイド服の少女、まほろさんは食卓に料理を並べながら、スラッシュの毛が濡れている事実を見咎めた。 「どうしたんですか、スラッシュ。毛皮がしっとりさんですけど」 「……銭湯で身体を洗われた事はあるが、バスタオル代わりにされたのは初めてだ……」 スラッシュは憮然として答えた。 「あはは、洗った後でタオルを忘れた事に気づきまして。 なかなか見つからなくて湯冷めしちゃいそうだったので、つい」 悪気のない顔でナノカは笑った。 「でも、スラッシュの毛皮ってきれいだよね。汗かかないし」 「知るかよ……」 スラッシュはそっぽを向いた。 食卓を囲む2人と一匹。スラッシュは床の犬用食器を使っているが。 正座しているまほろさんに対し、ナノカは胡坐をかいている。 行儀が悪い、というよりタブリエがないと下着が見えそうだ。 「ところで、ナノカさん。作業の方は終了しましたか?」 「はい、ミサイルにはレーダー自動追尾装置をつけ、自律誘導を可能に! 標準火器に20mm×6回転式多砲身ドグラノフ、71口径88mmメガ・ドグラノフを搭載! さらに星型複列28気筒エンジンを採用し、最高時速280kmに10秒で到達可能です!」 「なんつーか……もう護身用じゃねえな……」 喜々として解説するナノカに対し、スラッシュは突っ込みを入れた。 初めは聖杯戦争の本選開始後、外を出歩く際に護身用として防御装備を備えた自動車を製造するはずだった。 だが、ナノカはまほろさんが生前、内部に武器を備えたBMWの改造車に乗っていた事を知り一変。 BMWのスペック、内蔵されている兵器などを根掘り葉掘り聞きだし、図書館で資料を調べ、遂にまほろさんが生前使用していたBMWを製造してしまった。 「大体狙撃銃まで自分で作っといて、護身もクソもないもんだ」 ナノカはBMWと並行して、自分が使う狙撃銃を弾丸まで含めて製造していた。 「戦場に身を置いたら、目の前に立ちふさがる者は可能な限り速やかに、全力で排除せよ。と教わってきましたから」 「おまえの保護者の苦労が分かるなあ……いろんな意味で」 スラッシュは大きくため息をついた。 「でも、ここが月に向かう方舟の中って未だにびっくりですよ。 Eシップは何度か乗った事あるけど、こんな巨大なのは見たことがありませんし」 「正確には方舟内部の仮想空間ですね。一つの都市が丸ごと再現されていますから、ここに匹敵する宇宙船は数少ないでしょう」 「月にはムーンセルの他にマスドライバーやマイクロウェーブ発信装置があるんでしょうか? 月はいつもそこにあります!」 「なんかいろいろ混じってますけど……どこで覚えたんですか?」 「時々壊れたスツーカが言ってたんですよ。 そのやたら渋い声で『君は、刻の涙を見る……』とか言ってたから、覚えちゃいました」 ナノカは物真似なのか、やや低い声で呟いた。 食事を終え、まほろさんはナノカと自分にお茶を入れた。 まほろさんはお茶を飲み終えた湯呑みを卓に置き、ナノカと向かい合った。 「時間を考えますと、恐らくそろそろ予選の期限のはずです。 これから本格的に聖杯戦争が始まるにあたり、改めて尋ねますが、ナノカさん。本当に聖杯へ託す願いは無いのですね?」 まほろさんの真剣な表情に対し。 「本音を言うと……調べてみたいですね」 そう言って、ナノカは懐からペンダントを取り出した。 「これは、お父さんとお母さんが残したオリハルコンの試作品です」 オリハルコン。それはアトランティスで用いられていたという伝説の金属。 だが、このオリハルコンは蒼い輝きを放つ結晶だ。 「オリハルコンはパシアテ文明の根幹を成す重要な物質で、お父さん達だけが製造に成功したんです。 これ一つだけを残して死んじゃったんだけど」 ナノカの世界におけるオリハルコンは演算装置、記憶装置、動力源、エネルギーなど様々な役割を果たす重要な物質だ。 組成も製造法も全て不明。先史文明のパシアテ文明のみがこの物質の量産に成功し、ナノカ達後世の人類は遺跡で偶然発掘されるわずかな量を用いている。 「ムーンセルを構成しているフォトニック純結晶は、光を内部に封じ込めて計算や記憶を行っているんですよね。 オリハルコンも性質の一部に光がありますから、聖杯の技術の延長線上に、オリハルコンの精錬技術が繋がっていると思うんです」 発掘に頼らず、安定供給するためオリハルコンを研究する者は大学者から町の発明家まで数多い。 当然ナノカもその一人だ。技術者として、是非とも調べたいというのは当然の欲求だろう。 「でもそのために人殺しはちょっと……。 それに、早く帰らないとスツーカに、椅子に座れなくなるくらいお尻を叩かれますから」 スツーカとは、ナノカの保護者兼護衛兼友達兼ペットの狼型ロボットである。 余談だが、まほろさんが召喚したスラッシュを見たナノカは「スツーカの初期設定みたい」と言い、スラッシュを引かせたとか。 まほろさんは、ナノカの言葉を聞き納得した。 ナノカはあらゆる願いを叶える聖杯と、無断外泊のお仕置きとを天秤にかけている。 結局ナノカにとって、聖杯は必要ないのだろう、と。 「では、聖杯に叶えてもらう願いは無いのですね?」 「はい。夢は叶えるものじゃなくて、追い続けるものだと思います」 ナノカはまほろさんの顔を見つめ、答えた。 「でも、まほろさんはいいんですか? サーヴァントには願いがあるから、召喚に応じるそうですけど」 ナノカの問いに対し、まほろさんは胸に手を当て、微笑んだ。 「ご心配なく。私の夢は既に叶っています」 「ところで、つかぬ事をお聞きしますが、ナノカさんの夢とはどのようなものですか? オリハルコン製造に成功した後、追い続ける夢というのは何でしょう」 「私はいつか宇宙船を作りたいんです。恒星間を行き来できるような。 それで別の星にある世界を目指すの。この方舟があるってことは、他の惑星に文明があるって証拠でしょう? 辿り着いたら髪を青く染めちゃって、異星の人たちと交易を」 「それ以上はやめてください! まずいですから、いろんな意味で!!」 まほろさんは慌てて、両手を振った。 「じゃ『抵抗は無意味だ』と」 「もっとまずいです!! ていうかそれじゃ侵略者です!!」 「それは冗談ですけど」 「どっちがですか……ナノカさん、ちょっと怖いです……」 まほろさんは柳眉をひそめるとまではいかない、微妙な表情をした。 「先程の冗談は別にしても、無事に辿り着いても侵略者と見做されて、いきなり攻撃されるかもしれませんよ」 「それでも波を恐れちゃ船出はできません!」 ナノカが言った所で時計が12時を回り、鐘が鳴った。 「あ、もうこんな時間ですか。 それでは、キリの良い時間になったので、只今を以って聖杯戦争本選が開始されたとしましょうか!」 「はい、一緒に聖杯戦争を止めましょう!」 「おーっ! です! がんばっていきまっしょい!!」 満面の笑みを浮かべてガッツポーズをするナノカとまほろさん。 『……この天然お気楽ぼけ思考のコンビ。オレッチがしっかり手綱締めねえと、あっさりおっ死んじまいそうだぜ……』 その姿を見るスラッシュは、強い不安を感じていた。 「ところで、ずーっと思ってたんだけどよ……お前ら声がすごい似てないか?」 「でしょう!? やっぱり私たちの声ってそっくりですよ、ナノカさん」 「そうかな? 自分じゃよく分からないんだよね」 【マスターステータス】 【出展】 蒼い海のトリスティア 【マスター】 ナノカ・フランカ 【参加方法】 トリスティアの中枢部を探索したところ、何故か厳重に保管されていた木をさわって。 【マスターとしての願い】 願いは特になし(あえて言うならムーンセルを調べてみたい)。 【weapon】 スプレンディッド・インパクト ナノカがいつも持っているノギスとマイクロメーターとハンマーとバールを合わせたような外見の万能工具。ドリルも飛び出す。 ある程度の重力を制御でき、威力は親父の拳骨並から小隕石衝突レベルまで自在に変えられる。背負うと少し身が軽くなる。 ロングドグラノフ・ナノカSP ナノカが製造した狙撃銃。 使用するのは.30-06スプリングフィールド弾。Fate/Zeroで衛宮切嗣がトンプソン・コンテンダーで撃ったものと同じ。 狙撃手の腕が良ければ、1キロ先のフットボールも撃ちぬける……かもしれない。 余談だがナノカの世界でドグラノフは、硝酸塩燃料を燃やして重金属弾を発射する熱機関武器の総称なので、拳銃も小銃も狙撃銃も大砲も全てドグラノフと呼ばれる。 オリハルコンのペンダント ナノカの両親の形見。 【能力・技能】 発明全般が得意。新料理のレシピ制作に始まり調理器具、観光土産、新素材開発、工作機械製造、絵画の贋作、イベントの仕切りや建設企画書。 果ては医療用マイクロマシン、ロボット(ナノカの世界ではゴーレムと呼ぶ)、兵器製造まで何でもあり。 発明の失敗で爆発を起こしたり、アカデミーの構内で核実験を行ったと噂されたり、イルカのアレを弄って知性化処理を施したりと結構マッド気味。 体術は、不意を突けば兵士2人を即座に倒すくらい。スツーカの教育のお蔭でスプレンディッド・インパクトを全力で振り下ろすなど容赦がない。 狙撃も得意で、30cmの的を狙っての必中レンジが500mという驚異の14歳。 【人物背景】 14歳で既に先史パシアテ文明の技術『Eテクノロジー』を研究、開発しものづくりを行う工房士と呼ばれる職業についている。 天才天然お気楽思考の持ち主。というかキャラクター性が「まほろまてっぃく」に登場するマホロ博士に近い。 正義感が強く「こうみえてもワル者には容赦しないタチなんですよ」とは本人談。 発明に文句を言われると、うっかり憎まれ口を叩く黒い面もある。 【基本戦術、方針、運用法】 第一目的は聖杯戦争からの脱出。 第二目的は聖杯戦争の廃止。悪い人が悪い事をしようとしているなら、それを止める。 ナノカはそこそこ戦えても、近接戦に優れたマスター相手だと分が悪い。 スラッシュを護衛兼観測手にし、狙撃手としてまほろさんのサポートをさせるべし。 【サーヴァントステータス】 【出典】 まほろまてぃっく 【CLASS】 アーチャー 【真名】 安藤まほろ 【ステータス】 筋力B 耐久D 敏捷A 魔力B 幸運A++ 宝具B 【属性】 秩序・善 【クラス別能力】 対魔力:D 一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。 魔力避けのアミュレット程度の対魔力。 単独行動:C マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。 ランクCならば、マスターを失ってから一日間現界可能。 【保有スキル】 千里眼:B 視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。 さらに透視を可能とする。 心眼(真):A 天賦の才と豊富な実戦経験によって培った洞察力。 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”。 騎乗:A 騎乗の才能。全ての乗り物を自在に操れる。 星の観測者:EX 星を代表し、知的生命体の是非を判断する存在。 あらゆる精神干渉を完全に無効化し、常に『正しい答え』を導き出す。 【宝具】 『Summon』 ランク:B 種別:召喚宝具 レンジ:- 最大補足:- 宝具の本体はまほろさんがつけているブローチ。真名を唱える事で発光し、亜空間よりサポートメカを召喚する。 アーチャーとして現界したため、召喚できるのは「SYLPHEED」と「SLASH」の二体のみ。 『SHINING OF THE DARK(輝ける闇)』 ランク:EX 種別:対星宝具 レンジ:1~999 最大補足:1~1000人 まほろさんが命を削って放出する、太陽系より遥か彼方にある星の光を収束した最終兵器。 対人規模から、星を砕く規模まで自在に範囲を調整できる。 魔力とは無関係に発動できるが、この宝具を使用した寿命の減少は魔力提供により回復しない。 【weapon】 メイド服 一着398000円のオーダーメイド。ただそれだけの普通の服。 拳銃 二丁を装備。命中すればちょっとした爆発が起こるほどの大口径の銃。 短刀 二本一組。何らかの機能が備わっているのか、ロボットの装甲を軽々と切断する切れ味を誇る。 戦闘用スーツ Dランク以下の攻撃を防ぐ障壁を張る機能を持つ。 手甲にはワイヤーアンカーが内蔵されている。 苦無 爆薬が仕込まれており、数本でビル一棟を破壊する。 反物質封球弾 対城宝具級の威力を持つ武器だが、魔力消費もまた高ランクの対城宝具並である。 BMW ナノカが製造した。武装はアクティブレーダーホーミングミサイル、20mmガトリングガン、71口径88mmカノン砲。最高時速280km。 サーヴァントには通用しないが、人間相手には過剰すぎる武装である。 【人物背景】 「ヴェスパー」が生み出した最強の戦闘用アンドロイド。残り稼働日数が僅かになった事を契機に引退を許可された為、メイドとして美里家で働き始める。 常に心優しく、心清らかな「完璧な心」の持ち主と評されるが、結構天然で暴力的な一面も。 特にえっちなものには厳しく、「えっちなのはいけないと思います!」が口癖。 【サーヴァントとしての願い】 ナノカを無事に元の世界へ返す。 【基本戦術、方針、運用法】 宝具の輝ける闇を使わないと決定力に欠ける。 反物質封球弾で補うにしても魔術師で無いナノカの魔力供給では安定して使用するのは難しいので、結局輝ける闇を使わざるを得ない。 ただ使用するほど寿命に近づくので、継続して戦い続けるのは不安。誰かとチームを組む必要がある。 弱点は生前縁のない魔術。対魔力が低い、知識も乏しいのでキャスターチームと組むと丁度いいかも。
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アンドルーアーチャー(アンドルー・アーチャー) イングランド貴族のプリマス伯爵の系譜に登場する人物。 第2代アーチャー男爵。 関連: トマスアーチャー (トマス・アーチャー、父) キャサリンティッピング (キャサリン・ティッピング、母) サラウェスト (サラ・ウェスト、妻) サラアーチャー (サラ・アーチャー、娘) エリザベスアン (エリザベス・アン、娘) マリア(76) (娘) 別名: アンドリューアーチャー (アンドリュー・アーチャー)
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ウェイバー・ベルベット&アーチャー◆srQ6oTQXS2 ウェイバー・ベルベットは、魔術師としては非才な方に部類される少年だ。 家門はさして名のあるそれではないし、血統もたったの三代ぽっちと極めて浅い。 世代を重ねる中で受け継がれ、蓄積・開拓されていくものである魔術回路も刻印も、由緒正しい魔術師の家門の末裔達には大きく劣る。少なくとも彼が招聘された魔術協会の総本部、時計塔には六代以上も血統を重ねた名門の末裔が珍しくもなくごろごろ在籍していた。 しかしそれでもウェイバーは、自分が優秀で才に溢れた人材であると信じて疑わなかった。 ほとんど独学で時計塔という最高学府の招聘を勝ち取ったのがその証拠だ。 我こそは同期の学生共の中では勿論、時計塔開闢から今に至るまでの間でも類のない逸材であり、そんな自分の才能を理解しない者は自分に嫉妬しているか、そもそも崇高な考えを理解できない頭の残念な馬鹿のどちらかだろうと、日々周りの愚かな者達を見下しながらウェイバー少年は今日まで生きてきた。 彼が言うところの"才能"が正当に評価されたことは、これまで只の一度としてない。 生徒はどいつもこいつも揃いも揃って名門出身の優等生の礼賛に明け暮れ、講師でさえその例外ではない。 彼らはウェイバーに微塵の期待もしていないことを杜撰な態度で存分に表現し、秘術の伝承はおろか、学習目的での魔導書の閲覧に許可を出すことすら渋る有様だ。 ウェイバーが血筋と年の功だけを基準に人の価値と理論の信憑性を評価しようとする風潮に異議を唱えれば煙に巻くような形で言いくるめ、それで論破は成ったと彼を適当にあしらった。 あまりにも当たり前に横行する理不尽。時計塔はお世辞にもウェイバーにとって居心地のいい場所ではなかったが、それでも彼は奥歯を噛み締めながら我慢し、いつか目に物見せてやると反骨心ばかりを胸に積もらせていった。 彼が本当に自分が思うほど優秀な人物なのかどうかはさておいて、その忍耐強さは確かに評価に値するだろう。 魔術師特有の陰湿さと腐敗したと言ってもいい時計塔の内情を、彼は当事者としてずっと味わい続けてきたのだ。 そしてそんな彼にも、遂に我慢の限界がやって来た。堪忍袋の緒が切れた。 その出来事はウェイバー・ベルベットに、人生で最大と言ってもいい耐え難い屈辱を与えた。 横行する理不尽と旧態依然とした体制を是正する為、構想から執筆まで、合計四年もの時間を費やした一本の論文。 屁理屈で煙に巻かれぬように持論を極限まで噛み砕き、重箱の隅を突くような底意地の悪い指摘をさせないように熟考に熟考を重ね、一分の隙もなく自分の抱く思想を敷き詰めた。 会心の出来だった。必ずこの論文は時計塔に、それどころか魔術協会にさえも波乱を巻き起こすだろうと確信していた。 しかし結論から言えば、それは改革を成すどころか、査問会の目に触れるにすら至らなかった。 "馬鹿にしやがって――馬鹿にしやがって、馬鹿にしやがってッ!!" ウェイバーの論文は、ただ一度流し読みしただけで、無惨に破り捨てられてしまったのだ。 その度し難い蛮行を働いた愚物の名を、ケイネス・エルメロイ・アーチボルト。九代を重ねる名門アーチボルト家の嫡男であり、『ロード・エルメロイ』などと持て囃されている、降霊科所属の講師だった。 ウェイバーは元々ケイネスという男を軽蔑していた。 若くして講師の椅子に座り、学部長の娘ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリとの婚約を取り付け、ウェイバーのように泥水を啜る思いをしたことなど一度もないだろう恵まれた男。ウェイバーの嫌悪する権威という概念を体現したような人物だ。 自分の中に渦巻く嫌悪感を僻みなどとは決して思わない。あのような男が幅を利かせているから時計塔はこのザマなのだとウェイバーは心の底から確信している。 冷ややかに。憐れむように自分を見下ろしたケイネスの眼差しは、今も瞼の裏に焼き付いて離れない。 あろうことかあの男は、自分の論文を読み、その素晴らしさに嫉妬して蛮行に及んだのだ。今まで散々軽視し、冷遇してきたウェイバー・ベルベットという魔術師の才能の大きさを初めて自覚し、それに自らの立場を脅かされるのではないかと恐れ、曲がりなりにも人に物を教える人間のすることとは思えない行為を働いた。 ……と、ウェイバーはそう思っている。仮にも講師の座を勝ち取った人間があの論文の内容を理解できないわけがないのだから、ケイネスは自分に嫉妬してあんな真似をしたとしか考えられない――そう早合点して、自分の力作を妄想と一蹴した男への怒りに鼻息を荒げながら、その後の日々を過ごしていた。 そんな日々の中。彼は一つの噂を耳にする。 曰く、極東の地で行われる魔術師の競い合い――聖杯戦争。その内容は、ウェイバーの心を鷲掴みにして離さなかった。 肩書きも権威も糞ほどの価値も持たない、正真正銘の実力勝負。個人の優秀さ以外のあらゆる要素が介入しない、魔術師の優劣の決定。これこそまさに、ウェイバーが長年望んでいた好機であった。 これに名乗りを上げ、見事勝利することが出来たなら……これまで押されてきた不名誉な烙印を全て消し去れる。 不遇の天才ウェイバー・ベルベットの名は全ての魔術師の間に轟き、これまで自分を冷遇してきた愚か者達は皆、その間抜けさを恥じて掌を返し始めることだろう。散々上から見下してきた相手の足元にひれ伏し、その叡智を恵んでくれと懇願に明け暮れることだろう。その想像はウェイバーを最高の上機嫌へと導いた。 と。 興奮に浮足立つウェイバーの下に、更なる幸運が舞い込んでくる。 ある日、管財課の手違いで一般の郵便共々ウェイバーに取り次ぎを託されたそれは、ケイネスその人が恐らくは聖杯戦争の為に手配した、マケドニアより届けられた"重大な"荷物だった。 ――聖遺物。聖杯戦争において目当ての英霊を引き当てる為に不可欠な、召喚の触媒となるアイテム。 これだ、とウェイバーは思った。これしかない、とも思った。 これを持ち去って聖杯戦争の舞台となる冬木市に飛び、サーヴァントを召喚すればそれだけで聖杯戦争を戦い抜く為の準備が整う。同時に憎たらしいケイネスに痛い目も見せられ、まさに一石二鳥だ。 勝手に開封しないよう厳命されていたそれの包装を剥がすべく、弾む足取りでカッターを探そうと部屋の中を歩き回り。 そこでウェイバーは、自分のデスクの上に、見慣れないものが載っていることに気が付いた。 何だ、これ。訝しげな顔で拾い上げたそれは、絵柄の書かれていない、白紙のトランプだった。 身に覚えのない奇妙な物品をゴミ箱に放り込もうと手に取ったその時、自称・天才の視界は唐突にホワイトアウトする。 強烈な目眩にも似た感覚と、自分という存在が世界から消失していく耐え難い悪寒。 思わず情けない叫びすらあげながら――ウェイバー・ベルベットは"雪の戦場"へと放り出された。 本来なら、彼は無事横取りした聖遺物を手に冬木へと旅立ち、そこでさる征服者の英雄の召喚に成功したのだろう。 そして英雄の奔放さに振り回されながら、頭を抱えながら、がむしゃらに聖杯戦争を走り抜けていき。 行き着いた結末は、最初の彼が望んだものとは遠い敗残でも。 今後の彼の人生を大きく変える得難い経験と、かけがえのない友を得るに至ったのだろう。 しかし、この世界ではそうはならなかった。白紙のトランプに導かれ、魔術師の少年は本来の運命から外れてしまった。 ――だから、この話はこれでおしまいなのだ。 ◇ ◇ 意味が分からない。 スノーフィールドで暮らすごく普通の学生――という役割を与えられた魔術師、ウェイバー・ベルベットは頭を抱えていた。何に、かは言うまでもない。自分の置かれた状況全てに、だ。 聖杯戦争は極東の冬木で行われるのではなかったのか。 あの白紙のトランプは何で、自分は何だってこんな所に飛ばされてしまったのか。 何より腹が立つのが、自分がつい数時間前まで、この状況を疑うこともなく平然と受け入れていたことである。 覚醒のきっかけは日々の中で感じた微小な違和感だったが、もしそれに思い当たらなかったらと考えると背筋が冷える。 その場合、自分は白痴のようにこの偽りの平穏を享受して、何も知らないまま世界の歯車に成り果てていたことだろう。自分の聡明さにウェイバーは心から感謝した。 分からないことは山のようにあるが、そんなウェイバーの右腕には、彼があれほど欲していた三画の刻印がありありと刻まれていた。形は歪んでいるが、どこか王冠のようにも見える。 「……………………はあ」 ウェイバーは深い、深い溜め息をついた。しかしその口元はだらしなく緩んでいる。 過程はやや聞いていたものと違ったが、それでも自分が聖杯戦争に参加できたことに変わりはない。 この令呪がその証拠だ。誰もが軽んじてきた自分の才能を、聖杯はしっかり認めてくれた。 後は勝つのみ。この地でサーヴァントを召喚し、それを用いて全てのライバルを倒す。 そして元の世界に聖杯を持ち帰り、自分の才能と優秀さを証明する。 やることは極めて明白だが、簡単ではない。それくらいはウェイバーも承知している。 この地にはきっと、これまでウェイバーに辛酸を嘗めさせてきた名門の魔術師も呼ばれている筈なのだ。 それらを蹴散らす為には策が要る。立ち回りの巧さが要る。そして何より、優秀なサーヴァントが要る。 「やっぱり聖遺物はこっちにはない、か……いや、でも」 ケイネスの聖遺物を置いてきてしまったのはあまりに痛い。 それでもウェイバーに不安はなかった。自分ならばきっとやれると、確固とした自信があった。 それよりも問題は、どうやってサーヴァントを召喚すればいいのかということだ。 冬木の聖杯戦争と同じ要領で儀式をすればいいのか、それともまた別な手順が必要になるのか。 魔術関係の文献を漁ることさえ困難なこのスノーフィールドで一から調べるとなると相当に手間だ。もし儀式の手順が変わっているのなら、まずどこに儀式の資料があるのかから調べて行かなければならないが――そんなウェイバーの危惧は、結論から言えば杞憂に終わった。 このスノーフィールドにおいて、サーヴァントの召喚に決まった手順は存在しない。 皆それぞれ何かしらの引き金を有していて、それが引かれた時に英霊が現れる。 一概に言い切れない部分もあるかもしれないが、説明としてはある程度的を射ているだろう。 そしてウェイバー・ベルベットにとっての引き金は――記憶を取り戻すことだった。 「――問おう。醜く憐れな者」 凛と響く声に、ウェイバーは思わずその背筋を凍らせる。 女の声だった。美声と呼んでいい音色だったが、ウェイバーがその声に対して抱いた感情は恐怖。 何故かは、分からない。分からないが、とにかく女の声は魔術師に本能的な恐怖を覚えさせた。 唸りをあげる虐殺装置が背中のすぐ後ろに突然現れたような、言葉にし難い恐れ。 「貴様が、私のマスターか」 バッと勢いよく振り向いた先に立っていたのは、青髪に鋼鉄製と見えるバイザーを装着した鎧姿の女だった。 人相ははっきりとは分からないものの、恐らく美人であろうことが両目が覆い隠されていても分かる。 全体的に冷たい、氷のような雰囲気を醸したその女の口元は、薄い笑みの形に歪んでいる。 その笑みがどういう種類のものかを、ウェイバーはすぐに理解することが出来た。 時計塔の講師達が、才能主義の生徒達が、血筋に恵まれた優等生共が――ウェイバーに対して度々浮かべていたものと同じ。他人を見下し軽んじる、"持つ者"の嘲笑だった。 「……ッ」 鎮静化していた苛立ちが、再びウェイバーの中に蘇ってくる。 時計塔で長年味わってきた理不尽。ケイネス・エルメロイ・アーチボルトに舐めさせられた苦渋。 折角聖杯戦争の舞台へやって来て、漸くそんな思いともおさらばかと思えば、その矢先にこれだ。 自分の使い魔であり道具である筈のサーヴァントまでもが、自分を腐った笑顔で見下している。 「あ――ああ、そうだ! このボクがオマエのマスターだ! マスターなんだぞッ!!」 「そう。見たところマスターとしては並……いえ、それ以下のようね。精々下の中、下の上と言ったところかしら」 ウェイバーの顔が、かあっと熱くなる。 顔だけじゃない。頭全体が急に熱されていくのを、ウェイバーは感じていた。 「使えない。さては無能ね、"マスター"? よくもまあ貴方如きが、この私を引き当てられたものね」 なんだ。なんだ……こいつは。 召喚された瞬間からウェイバーを見下し、口を開けば使えないと、無能と罵倒する。否、その才能を侮辱する。 ウェイバーは元より怒り易い質ではあったが、仮に彼でなくとも、面と向かってこう謗られたなら自尊心を沸騰させるのが当然というものだろう。 たかがサーヴァント。たかが使い魔の分際で、こいつは今自分を何と言った? マスターと呼ぶ声に敬意らしいものは全くなく、皮肉交じりの蔑称であることがウェイバーにはすぐに分かった。 「オマエなッ――」 怒りのままに口を開き、吼えようとする。ふざけるなと。自分の立場を分かっているのかと。 「……ごッ!?」 しかし最後まで言い終えることは、ウェイバーには出来なかった。 その腹にサーヴァントの爪先がめり込み、背後の壁まで勢いよく吹き飛ばされたからだ。 ゴホゴホと荒い咳をし、逆流しかけた胃液を押し戻しながら、歯を食い縛って女を睨む。 女は相変わらず、笑っていた。嘲笑っていた。その時ウェイバーは、初めて気が付く。 ……違う。 あれは、自分の才能の有無を嘲笑っているんじゃない。 仮にウェイバーがケイネスのような優れた魔術師だったとしても、あれは全く同じ嘲笑をぶつけたことだろう。 彼女はどんなマスターを引いたとしても、必ず見下し、軽蔑し、劣等と罵倒した筈だ。 何故なら、今自分を蹴り飛ばした女の顔に浮かぶ笑みは――子供が蟻やバッタを痛め付けながら浮かべるような、自分より劣る存在に対して向けるそれだったからだ。 「身の程を弁えなさい、人類種。本来貴様など、私の前で呼吸をすることすら許されない存在なのだから」 「なんっ、だと……」 「ああでも、その幸運だけは褒めても良いわ。おまえはとても運が良い――何故ならこの私を呼び出せたのだもの」 人類種と、女はウェイバーのことをそう呼んだ。 遠回しに自分はおまえとは違うと、そう発言したようなものだ。 そして事実、彼女は人間由来の英霊ではなかった。 人間から上位種に登り詰め、その身で働いた暴虐の歴史を以って反英霊になった……彼女はそういう存在。 「我はサーヴァント・アーチャー。麗しき氷の花園を統べる眷星神が一。 光栄に思いなさい、出来損ない。おまえは今宵、最も優れた英霊を召喚した」 彼女は、ウェイバー・ベルベットの生きた世界とは異なる並行世界の英霊だ。 文明の大半が一度崩壊し、星辰の粒子が地上を満たした世界。 とある国がそれを利用して、人工的に異能者を開発、戦場の環境を一変させた世界。 そこで彼女は歴史に名を残した。――人々の心に痛ましい爪痕を刻んだ大虐殺の下手人として。 そう、彼女は間違っても英雄などではない。むしろその逆。英雄に悪として一度は滅ぼされた存在こそが彼女だ。 人の名を捨て、新たに得た真名(コード)を……ウラヌス。ウラヌス-No.ζ。 人の枠を超越した存在となり、醜き人類全てを嫌悪し侮蔑する、無慈悲なる天空神に他ならない。 「我が願いは英雄への復讐。この手で下す壮絶なる死を以って、舐めさせられた苦汁への報いとする」 令呪を用いてでもこいつを縛るべきだと、ウェイバーは心からそう思った。 ウェイバー個人が気に入らないとか、そういう話ではない。直接痛みを浴びせられて、彼は漸く悟ることが出来たのだ。 このサーヴァントは危険すぎる。こいつは本当に、主従関係なんて微塵も考慮する気がない。 ウェイバーを殺しはせずとも、死ぬ寸前まで痛め付けるくらいなら、こいつは躊躇いもなくやってのけるだろう。 そう思い、顔を上げて――その考えがまず浅はかだと思い知った。 歪んだ口元が語っていた。令呪で縛る? いいだろう、やってみるがいい。但し仮に自害を命ぜられようと、事が住む前におまえを八つに引き裂いてばら撒いてやる……と。 ――ウェイバー・ベルベットの不運は、全て元の歴史から外れてしまったことに集約される。 彼があの時白紙のトランプを見つけてしまったこと、或いはそれに触れてしまったこと。 その時から結果的に見れば幸運な方へと向かう筈だった彼の運命(Fate)は崩れ、坂道を転げ落ち始めた。 行き着いた先、スノーフィールド。数多の世界が交差する大地で、呼び出した英霊は栄光の反対に位置する虐殺者。 "ちくしょう――畜生畜生畜生ッ! どうしてこうなるんだよぉぉッ!!" ウェイバーの未来には、奇しくも本来の彼が辿る道と同じように、見果てぬ暗雲が立ち込めていた。 ただ一つそこに違いがあるとするならば、その暗雲に喜々として向かっていく王者の姿はそこにはないということ。 あるのは微笑する魔星の姿だけだ。王者を引きずり下ろし、殺すことを渇望する復讐の星が一つ瞬いているだけ。 自らを最強と自称する星の英霊を従えながら、或いは彼女に従いながら、ウェイバーはこの先を戦い抜くしかない。 「待ち遠しいぞ、ヴァルゼライド。全ての英霊を生贄にくべたその先で、この積年の恩讐は漸く果たされるッ」 喜悦を浮かべて吐かれた言葉の意味は、ウェイバーには分からない。 いや――理解したくもなかった。今はとにかく頭を抱えて、これからのことを考えなければならない。 カードは配られ、自分は聖杯戦争を、この鼻持ちならないサーヴァントと共に乗り越えなくてはならないのだから。 彼がどれだけ現状を嘆き、不満を吐き散らしても。 豪快に笑ってそれを導く王の姿は――此処にはない。 【クラス】 アーチャー 【真名】 ウラヌス-No.ζ@シルヴァリオ ヴェンデッタ 【ステータス】 筋力C 耐久B 敏捷C 魔力A 幸運E 宝具B+ 【属性】 混沌・悪 【クラススキル】 対魔力:C 第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。 大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。 単独行動:A マスター不在でも行動できる。 ただし宝具の使用などの膨大な魔力を必要とする場合はマスターのバックアップが必要。 【保有スキル】 魔星:B 正式名称、人造惑星。星の異能者・星辰奏者(エスペラント)の完全上位種。 星辰奏者とは隔絶した性能差、実力差を誇り、このスキルを持つサーヴァントは総じて高い水準のステータスを持つ。 出力の自在な操作が可能という特性から反則的な燃費の良さを誇るが、欠点としてアーチャーは、その本領を発揮していくごとに本来の精神状態に近付いていく。本気を出せば出すほど、超人の鍍金は剥がれ落ちる。 また魔星は人間の死体を素体に創造されたいわばリビングデッドとでも呼ぶべき存在であり、死者殺しの能力や宝具の影響をモロに受ける。 復讐者:D 魔星として起動する前、自分を玩弄し辱めた"とある人物"への憎悪。 彼女はかの英雄を殺す為ならば、いかなる犠牲も厭わない。 忘却補正:C 時がどれだけ流れようとも、彼女の憎悪は決して晴れない。 英雄に死を。無惨な幕切れを。己の味わった屈辱に釣り合うだけの痛みを。 アーチャーは英雄への憎悪を忘れない。自分にとって都合の悪い真実は目を背け、忘れ去ったまま。 超越者の傲り:B 人間だった頃にアーチャーが持っていた貴種の傲りは、魔星に生まれ変わった瞬間から超越者のそれへと変じた。 醜く憐れで救いようのない存在と人類種を侮蔑し、喜悦の色さえ浮かべながらそれを惨殺する殺戮者。 軍事帝国アドラーに消えない傷痕を刻んだ"大虐殺"の実行者の片割れということも手伝って、アーチャーは人間と人属性の英霊に対して特攻効果を発揮できる。 だがその効果は、彼女が不利に立たされれば立たされるほど弱まっていく。 【宝具】 『美醜の憂鬱、気紛れなるは天空神(Glacial Period)』 ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:1~50 最大補足:1000人 凍結能力。あらゆるものを凍結させる星辰光。シンプルで分かりやすいからこそ隙が無い。 攻撃範囲が非常に広く、作り出された氷河期の如き空間に安全圏は存在しない。 無尽蔵に次々と生えてくる樹氷が周囲を凍てつかせ、降り注ぐ氷杭は着弾点から氷華を花咲かせる。 絶対零度に等しい氷気を周囲に纏っており、彼女に近付くという行動自体が自殺行為に等しく、動きが少しでも止まればそれだけで四方八方からの串刺しに合う。造り出された氷塊は外気の影響を受けず、熱力学の法則を完全に無視している。 多方面の性質に優れているため、どのような場面でも高い戦闘能力を発揮できるのが強み。 【weapon】 なし 【人物背景】 アスクレピオスの大虐殺と名付けられた、帝国史上類を見ない大虐殺を生んだ張本人。 彼女は魔星と恐れられる鋼鉄のアストラル運用兵器だが、元はカナエ・淡・アマツという貴種の人間だった。 選ばれた者として栄華の限りを尽くしたが、不当な弾圧と権力の行使を忌んだ改革派筆頭――後に英雄と呼ばれる男、クリストファー・ヴァルゼライドによって断罪され、投獄の身へと堕ちる。 ……それから絞首されるまでの間、彼女はヴァルゼライドから憤死しかねない程の屈辱を味わされた。 その怒りと彼に対する憎悪は、英霊となった今もアーチャーの脳裏に深く深く刻まれたままである。 余談だが、ウラヌスはアヴェンジャーの適性を持たない。 【サーヴァントとしての願い】 聖杯を手に入れ、クリストファー・ヴァルゼライドに復讐する。 【マスター】 ウェイバー・ベルベット@Fate/Zero 【マスターとしての願い】 聖杯を元の世界に持ち帰り、周囲に自分の優秀さを認めさせる。 【weapon】 なし 【能力・技能】 優秀と自負しているが、魔術師としての力量は平凡。この時点では一般人への暗示も失敗してしまうくらいに非才。 しかし実践方面の才能がない代わりに研究者としての洞察・分析の能力は秀でたものがあり、テキストの読解や記憶にかけては時計塔でも便利な見習い司書として扱われていたほど。 一流魔術師ケイネス・エルメロイ・アーチボルトの教え子であるため、専門ではないが錬金術の心得もそれなりにある。 【人物背景】 名門魔術師に対してコンプレックスを持つ、元時計塔の学生。 師ケイネスに手渡される筈だった聖遺物を掠め取り、征服王イスカンダルを召喚。 彼との出会いを通じ、大きく成長していく――それが本来の歴史における彼。 今回は聖遺物を持ち逃げする前の時間軸から参戦しており、蹂躙の英雄は召喚できなかった。 【方針】 聖杯戦争を勝ち抜く。……煩い煩い、勝つったら勝つんだよッ!!
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じくりと心が痛んだ。 これで何度目なのだろうかと男は自身に問いかける。 至って平凡なサラリーマンをしていたはずだった。 そう、そのはずだった。 なのに何故か、ここ最近になって謎の鈍痛が心から離れてくれないのだ。 ベビーカーの中で眠る赤子を、それを押しながら慈母の笑みで赤子の寝顔を見つめる母を。 公園のベンチで周りなど気にせずに泣き叫ぶ赤子を、それを両手で持ち上げながら変な顔を作ってあやす母を。 ヒモでおぶられ、無邪気に手足を動かす赤子を、時折当たる手足に苦笑いをしながらも買い物を続ける母を。 満足気な顔で哺乳瓶よりミルクを飲む赤子を、腕の中にいるその体を空いた手で撫でる母を。 そして母と父に囲まれ、惜しみない愛を注がれながら無垢な顔で眠る赤子を。 街で見かけるたびに心に得も言えぬ痛みが滲み出てくるのだ。 何が原因かは彼も分かっていない。 親にトラウマがあったわけではない、齢26で結婚に焦る歳でもない。 カップルを見てもこの痛みが湧き上がらないことから、『赤子』というキーワードが関わっているのは分かった。 分かったが、そこで終わりである。 今も道を歩いてる最中で偶然見つけた親子に対して思わず胸を抑えてしまいそうな痛みが走った。 「僕は……どうなってしまっているんだ?」 最初は違和感程度だった痛み。 それが徐々に徐々に増してゆき、今となっては肉体に影響を及ばさんばかりに膨れ上がってしまっている。 深呼吸を数度して落ち着いた彼の目に、またしても乳母車の影が見えた。 またかと彼は少しだけウンザリしたような表情を浮かべる。 赤子は嫌いではない、むしろ好きな方だ。 しかし、何度も精神を絞るような痛みを与えられると疎ましく思う気持ちが浮かぶのも事実。 出来る限り関わらないようにして通りすぎよう。 わずかに早足となった彼。 父と母に囲まれたてはしゃぐ赤子を極力目に入れにように両親の脇を通り過ぎ―――― 「清子ったら本当に元気なんだからなぁ」 父親の朗らかな声が耳に飛び込む 「ッッ!ウウウウウゥゥゥゥ」 その瞬間彼を襲ったのはやはり痛みだった。 しかし、今までのものとは違う、頭が割れんばかりの痛みが彼を襲う。 心臓ははち切れんばかりに鼓動を打ち、脂汗が顔中に滲み、唸り声が漏れだす。 そしてフラッシュバックする光景。 ―――清子といいます。清い子と書きます。 自分の声で、自分の口調で、誰かが喋る。 その声色は嬉しげで、楽しげで、そして慈しみがあった。 まるで、我が子を思う父のように。 見覚えがない光景があたかも自分のものであるかのように流れこむ感覚。 「……じょうぶ、大丈夫ですか!」 遠くなる意識が急に呼び起こされた。 霞む視界が徐々に鮮明になってゆく内に見えたのは、今しがたすれ違ったばかりの父親の顔。 「すみません……立ちくらみがしたもので」 何度も安静にしているように呼びかけてくる彼を静止し、覚束ぬ足取りで歩き始める。 目的地は分かっている。 行かねばならぬ場所は分かっている。 何故そこに行かねばならないかは分かっていないが、行かなくてはならないという使命感だけは存在していた。 一向に良くならぬ体調に、足を引っ張られながらも彼は一度も休むことなく歩き続けた。 そして辿り着いたのは街の外れに存在している倉庫。 周囲には背の高い草が生い茂り、壁面のペンキは所々が剥げている粗末なモノ。 敷地への入り口に置かれたフェンスを乗り越え、扉に架かっていた鍵を近くに落ちていたブロックで無理やり破壊し、彼は倉庫の中へと入ってゆく。 「あ、あぁ……」 そこにあった物を見た瞬間、彼は全てを思い出した。 「そうか、僕は」 残してきた妻子、容赦なく命を奪いにくる戦場、臆病者と呼ばれようとも生き残ることを選んだ自分。 教え子たち、見捨ててきた同胞達、そして最後の決意、特攻という名の黄泉路へと飛び立っていったこと。 全てを、そう、全てを彼は思い出した。 零戦二一型。 最期を共にすると思われた戦闘機の姿を彼はただ呆然と眺めていた。 いつまでそうしていたのだろう。 時間が経つのも忘れて呆然としていた彼は、半ば衝動的に戦闘機のコクピットへと乗り込んでいた。 「なぜ……なぜ、俺は死ねなかった」 彼を知るものなら誰もが驚愕するであろう言葉が彼の口から漏れだした。 生きて家族の元へ帰る信念を持ち続けていた彼が初めて死を仄めかす言葉を吐いた。 そう言ったきり彼は操縦桿へと突っ伏し、またしても動きを止める。 またしても時が流れてゆく。 薄暗い倉庫は静寂に包まれ、時が止まったかのような様相を見せている。 「原寸大の零戦ですか、とても懐かしいものを見ました」 落ち着いた声が止まった時を動かし始めた。 宮部が顔をあげると、1人の少女が倉庫の入り口に立っていた。 「航空母艦、赤城です。空母機動部隊を編成するなら……じゃなくって。 貴方が私の提督(マスター)なのでしょうか?」 「赤城……だって?」 道着に赤い袴、胸当て。そして手にした弓と矢筒。 記憶とともに聖杯戦争の知識を得た宮部にはそれがアーチャーのサーヴァントであることが一目で分かった。 しかし、そんなものは彼にとってはどうでもよかった。 問題なのは彼女の名乗った「航空母艦赤城」という名、そして肩に備え付けられた見覚えのある甲鈑の姿。 「はい、一航戦赤城です!」 「すみません、僕が知っている赤城は人ではなく船だったはずなのですが?」 二度目の名乗りを経ても事態が飲み込めぬ宮部。 当の赤城はというと、それもそうでしたねと得心の行ったように手を叩き、自己紹介を始めた。 曰く、彼女は艦娘という艦艇が転生して生まれた存在であること。 曰く、彼女たちはあくまでも艦船が転生した存在であり見た目は少女なれど中身は人にあらざるものであること。 曰く、彼女たちが存在しているのは大東亜戦争が終戦してから遥か未来であること。 曰く、彼女たちは深海棲艦と呼ばれる異形と日時戦っていること。 「そうでしたか、あなたは今も戦っているのですね」 全てを聞き終えた宮部は、静かに声を出した。 彼女の話を疑う様子はない。 聖杯戦争に巻き込まれた今、空母が少女の姿をしていてもおかしくないのでは、そう思えたのだ。 「あの、見当違いでいたらすみません。もしかしてあなたは私の―――」 「申し遅れ失礼致しました。私、航空母艦赤城の元乗組員……宮部久蔵少尉であります」 宮部の口ぶりから感じるものがあった赤城は抱いた疑念を率直に話す。 彼女の予想は正しかった。宮部は赤城の艦載機のパイロットとして真珠湾攻撃からミッドウェー海戦までを戦ってきたのだ。 綺麗な敬礼をする彼がかつての戦友であったことを知り、彼女の胸に何か感慨のようなものが生まれる。 「あんまり堅苦しくならないでも大丈夫です、マスター。 それにしても、不思議な感覚ですね。私を看取った人と今、こうして同じ戦場で再会するとは」 「そうですね、私もそう思っております」 両者の口元に小さな笑みが浮かんだ。 楽しい話ではない。 辛いことも共有している2人。 それでも彼らは思い出話に花を咲かせた。 しばしの間、彼らの歓談は続き、ミッドウェー海戦の直前で終わる。 看取ったものと看取られて者という関係上、触れにくいのだろう。 宮部の気遣いを感じ取った赤城は、話を変えることにした。 別段当時の話を避けたいわけでもないが、厚意を無駄にするのも忍びないと思ったのだ。 そして、彼女が口にするのは当然の疑問。 聖杯戦争に赴いた人間には必ず尋ねられるであろう話題。 赤城は何気なく口にした。 「伺ってもよろしいでしょうかマスター、あなたは何を望みこの聖杯戦争に挑むのでしょう?」 空気が凍りついた。 その時宮部が浮かべた表情を見た赤城は、何故こんな質問をしてしまったのだろうかと後悔した。 元同僚、同じ戦場で戦った人間。 そんな彼が何を抱えて聖杯戦争に赴いたのかなど、分かるはずだった。 たとえ詳細は分からずとも、理解できるものはあったはずだった。 赤城の悔いを知ってか知らずか、宮部は言葉を発した。 「分からない……」 「分からない、ですか?」 分からない、そう呟いた宮部が小さくなって行く。 元々持っていた柔らかなそれが完全に消えてゆき、空虚さが生まれ出た。 赤城が咄嗟に聞き返した言葉に対し、宮部はポツポツと語り始める。 「私には一つだけ願いが有りました。 臆病者と周りからなじられようとも、これだけは絶対に果たさねばならない願い」 宮部久蔵は周囲より臆病者であると嘲笑われていた。 少しでも劣勢になるとすぐに戦場から離脱する臆病者。 あまつさえ、周囲にまで誇りでなく命を惜しめと吹聴して回る始末。 戦闘機乗りとしての実力だけは誰もが認めるものであれど、彼は物腰の柔らかさと、その事から周囲に軽んじられていた。 それでも宮部は周囲の言葉に耳を貸さずに自身のスタンスを貫き続けていた。 たったひとつの約束を守り抜くために。 「私は生きて家族の元へと帰りたかったのです。 松乃、妻とも必ず帰ると約束を交わしていました。 清子、娘を腕に抱いた瞬間、その望みはより強くなりました。」 軍人失格ですね、彼は自嘲気な笑みを浮かべた。 赤城は喉元まで込み上げてきた『そんなことはない』という言葉を飲み込む。 話の全てを聞かずに軽々しく否定できるものではない。 彼の背負っているものを知らずに答えが出せるものではない。 赤城の心情も他所に、張り付いた笑みを消し再び空虚さを纏い始めた彼が話を続ける。 「赤城さん、特攻隊というものを知っていますか?」 赤城の心臓が掴みあげられたかのように大きく跳ねた。 艦娘として現界してから、けじめとして先の大戦を調べている時に見つけた存在。 記述を読んで思わず本を取り落とすまでに手が震えた作戦。 まさか。 そんな考えも出ず、疑念を通り越して確信となった。 「私は、特攻隊の一員として出撃した直後にここに呼ばれたのです」 宮部の言葉は、赤城の予測を上回ることも下回ることもなかった。 当たっていてほしくない。彼女は心の底からそう思っていた。 そんな願望は脆くも崩れ去ることとなってしまう。 僅かに狼狽した赤城に構うことなどなく、宮部は言葉を紡いでゆく。 「実を言うと、生き残る好機はあったのです。 あの時、私はあの機体の故障に気がついていました。 きっと、このまま出撃すれば途中で着陸せねばならないことになると。 私はただそ知らぬ顔で故障した機体に乗り込めばよかったのです。 敵艦に体当たりをせず、翌日以降に希望を繋ぐことができると知りながら、私はその選択をしなかった。 私は最期には家族と生きる権利を手放したのです」 軽く息継ぎをし、彼は続けた。 「私は教え子の大石少尉に生きる権利を譲ったのです。死ぬ覚悟を決めてしまったのです」 なぜ、その選択をしたのかは語ることはない。 赤城にとって、それは理解できることであり、理解できないことでもあった。 全てを聞いてもきっとその答えは分からないのだろう。そんな確信もあった。 「家族は大石少尉に託しました。心配はありません。 彼は約束を果たしてくれる、そんな男だと知っています」 彼がようやく、自嘲ではない笑みを見せた。 しかし、そこにあるのは純粋な喜びや安堵でもない。 色々な感情をまぜこぜにして、それを表に出したら笑みになった。 そう形容するしか相応しくない表情であった。 「ならば、僕は何を願えばいいのでしょう? 僕に家族の元へ帰る権利があるのでしょうか、見殺しにした僚機に償いをしなくてもよいのでしょうか。 私が生きるための犠牲となった教え子を救わなくてもよいのでしょうか。 生還して特攻を成功させなければならないのでしょうか。 初めから大東亜戦争をなかったとこにする、それは許されることなのでしょうか? そもそも僕に生きる資格があるのでしょうか。 分からない……僕には分からないのです……」 分からない。 またしても彼はその言葉を呟く。 願いは確かにある。 願いはあるのだが、彼にはどうしてよいのかが分からなかったのだ。 必然、赤城にも彼が本当に望むことが分かるはずもない。 「大石少尉に別れを告げた時、私は確かに覚悟を決めていました。 最期に時に至るまで心は静かに澄みきり、微笑みすら浮かべられるのではないか、そんな心持であったのです」 あの時の彼は確かに覚悟を決めていた。 自身の気持ちはともかく、『いく』という意思だけはあった。 ですが、と血を吐くように彼は呟く。 「私は生き延びてしまった」 彼の覚悟は宙ぶらりんとなってしまった。 生き延び、あまつさえは何でも願いが叶うと言われる。 そのような状態で彼は何もかもを見失っていた。 いっそ、死の際に立った方が自身の本当の願いが浮き彫りになるのではないか。 そう思うほどに彼の心は擂り潰されていた。 「赤城さん。貴女は何故戦えるのですか? 僕は零戦から貴女が死んでゆく姿を見ました。 炎に囲まれ、爆風に巻かれ、そんな無残な姿を上空から見届けていました。 だから疑問に思わずにはいられないのです。 深海で静かに眠っていられたら、そうは思わないのですか」 「……私は"そういうもの"として生まれましたから。 民の、戦友の、大切なモノのために戦う、空母であった頃から艦娘になるまで抱き続けた不変の信念です。 それが私の矜持であるとも言えるでしょうね」 赤城は、いや艦娘はその一点でぶれることがない。 信念のもと戦い続ける。 宮部にとって彼女は太陽であった。 あまりに眩しく、近づこうとすると妬け死んでしまいそうな存在。 「その大切なモノを失い続けたとしても?」 宮部の質問に、赤城は僅かな躊躇すら見せず首を縦に振る。 「ええ、全てを失うまでは。いえ、全てを失ったとしても」 彼女は幾度も喪い続けてきた。 艦船だった頃の乗務員、僚機達、守るべきだった国民。 艦娘になってからの仲間。 喪った命を悼みながらも、彼女は戦うという行為を決してやめようとしない。 羨ましいですね。宮部がポツリと呟いた。 「そうやって信念を貫くことができない、できなかった――――」 「僕は……どうすればいいのでしょう?」 赤城はついに彼の苦悩に応えることができなかった。 彼女と共に戦った乗組員は、艦娘は強い意思を持って戦っていた。 彼もきっとそのそうな人間だったのだろう、赤城にもそれは分かる。 故に、その信念が崩された今、どうすればいいのか分からなくなっているのだろう。 それも理解できる。 だが、彼にかける言葉が見つからなかった。 彼女の前で弱音を吐く人間や艦娘が居ないわけではなかった。 が、彼ら彼女らが見せる弱みは断末魔の囁き。 赤城にも聞かぬことにする情けが、慰めの言葉と共に看取る優しさが無いわけではなかった。 そんな彼女でも、眼前に居る男に何を言うべきなのか分からなかった。 これからの存在している生きた屍にどのような言葉を掛けるべきなのか答えを出せなかった。 彼女は自分の無力さに臍を噛む。 「赤城さん、僕は――――」 【出典】艦隊これくしょん -艦これ- 【CLASS】アーチャー 【マスター】宮部久蔵 【真名】赤城 【性別】女性 【属性】秩序・善 【ステータス】筋力C 耐久A 敏捷C 魔力E 幸運C 宝具E 【クラス別スキル】 対魔力:E 魔術に対する守り。 無効化は出来ない。ダメージ数値を多少削減する。 近代の英雄である赤城は魔力に対する耐性を持たない。 艦娘が英霊に近似した存在であるといえども、魔術の無い世界の英霊は魔力への耐性を持ち得なかった。 単独行動:B マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。 艦娘は人の手から独立し、自身の意思で動き始めた艦船であるため、そこそこの単独行動スキルを得ている。 【固有スキル】 艦娘:A 軍艦より転生した存在であることを示すスキル。 その存在故に宝具でありながら英霊であるという特異な性質を持っている。 外見は少女ながら、その身体能力は人間とは比べ物にならない。 また、高速修復材(ここでは魔力で代用する)などを用いることで瞬時に回復することも可能。 奇襲 B 真珠湾攻撃に加わっていた史実より。 初撃時のみに同ランクの気配遮断と同程度の気配遮断能力を得る。 逆に通常時などには能力を発揮することがない。 なお、真珠湾攻撃が奇襲になったのは幾つかの要因が重なったゆえの結果的なものであり、赤城自身はこのスキルを好いていない。 水上戦:A 彼女たちは本来は海上で戦うために生まれた存在であり、故に水上戦ではランクが1上昇する。 自己改造:B 本来ならば、自身の肉体に別の肉体を付属・融合させるスキルであるが、空母である彼女は肉体ではなく資材を自身の体に融合させる。 それによって改造や近代化改修を行い、ステータスを上げることができる。 【宝具】 『正規空母 赤城』 ランク:E 種別:対軍宝具 レンジ:10-99 最大捕捉:100人 艦娘としての特性ゆえに彼女自身が宝具として扱われている。 空母である彼女は艦載機を飛ばすことによって攻撃や索敵を行うことができる。 艦載機は人間体となった彼女のサイズに合わせて小型化している。 なお、喪った機体は魔力によって比較的低コストで補充が可能。 彼女の艦載機は『零式艦戦21型×18』『九九式艦爆×18』『九七式艦攻×27』 宮部久蔵の搭乗機であった『零戦二一型』も離陸させることが可能である。 その際にサイズが縮むこともなく、魔力が付加されるためサーヴァントにダメージを与えることも可能。 大破しても魔力で修繕することができるがパイロットは宮部自身となっている。 また、彼女は多大な魔力を消費することで『改造』し赤城改になることができる。 改造を行うとステータスが上昇するが、一般人の宮部の魔力量では不可能であり、令呪によるブーストなどが必須である。 【Weapon】 『無銘』 人間体となった赤城の持っている弓。 赤城はこれにより艦載機を射出している。 【人物背景】 当初は戦艦として製造されたものの、ワシントン海軍軍縮条約を経て空母へと改造される。 1925年4月22日進水。 近代化改修を経て真珠湾攻撃に参加し多大なる戦果を上げる。 が、ミッドウェー海戦において大破炎上。味方艦によって雷撃処分され軍艦としての生涯を終えた。 その後、艦娘として転生し新たな提督の下で深海棲艦と戦い続けている。 性格は温和であるが、慢心しがち。 資材をやたらと食う(実際は彼女以上に資材を要する艦娘もいるが)ことから二次創作では大食いキャラとしてネタにされることもしばしば。 【基本戦術、方針、運用法】 水上戦が真骨頂であるが、聖杯戦争においてその条件をみたすのは厳しいのが辛い。 アウトレンジからの攻撃を得意としているので、艦載機を用いて相手を近づけずに自身の間合いで戦い続けるのが肝か。 【マスター】 宮部久蔵@永遠の0 【参加方法】 何らかの方法で『ゴフェルの木片』を入手。 【マスターとしての願い】 ??? 【weapon】 零戦二一型 【能力・技能】 軍人として日夜鍛え続けた肉体があるが、超人たちには敵わない。 彼の真骨頂は誰もが「エース」と認める程の操縦技術にある。 【人物背景】 第二次世界大戦時の旧大日本帝国軍人。 大体本文で書いたからそっち、欠けてる部分は原作を参照して頂ければ 【方針】 ???
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《ダーク・ディメンション・アーチャー/Dark Dimension Archer》 効果モンスター 星5/闇属性/戦士族/ATK2000/DEF1800 自分の闇属性モンスターが3体以上ゲームから除外されている時、 このカードは以下の効果を得る。 ●1ターンに1度、ゲームから除外されている 自分の闇属性モンスターの数×200ポイントダメージを 相手ライフに与える事ができる。 通常召喚可能なダーク・ディメンションで唯一のレベル5以上のモンスター。 バーン効果はこの手の効果を持ったモンスターには珍しく自身の攻撃制限がかからない。この為、最後の一押しになりやすく、除外枚数を増やしつつバーンを持っている《ダーク・ディメンション・ドラゴン》とは特に相性が良い。 関連項目 ・ダーク・ディメンション
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概要 ゲーム環境 概要 『人狼ゲーム(じんろうげーむ)』はヨーロッパで考案された伝統的なテーブルゲームです。 プレイヤーは村人チームと人狼チームに分かれ、 自分の正体がばれないように交渉を重ねながら対抗チームの打倒を目指します。 『人狼ゲームオンライン』は、人狼ゲームをインターネットで遊びやすいようにアレンジしたものです。 このページでは『人狼ゲームオンライン』について紹介しています。 ゲーム環境 昼と夜の統合 一般的な人狼ゲームでは昼と夜のパートを分けてプレイしますが、 人狼ゲームオンラインではより円滑にゲームを進行できるように、昼と夜が統合されています。昼に話し合いと投票が行われ、夜の処刑や襲撃は一瞬で完了します。 常時投票可 人狼ゲームオンラインでは、処刑や襲撃の直前まで常時投票が可能です。 また、投票先を変更することもできます。 システムによるゲーム進行 紙媒体や掲示板型の人狼ゲームでは進行役(ゲームマスター)を必要としますが、人狼ゲームオンラインではシステムが自動で進行を行います。 充実のチャットシステム(人狼チャット、霊界チャット、ささやき) 紙媒体や掲示板型の人狼ゲームでは、座っている位置や掲示板の機能的制限から 思った相手と内密に連絡を取りにくいことがあります。 人狼ゲームオンラインには、人狼だけで話せる『人狼チャット』と、特定の相手にだけ話しかけられる『ささやき』機能があります。 これらの機能により、一層戦略の幅が広がります。 また、犠牲者だけで話せる『霊界チャット』もありますので、 ゲームの中で死んでしまっても、犠牲者同士で会話しながら観戦することもできます。 魂抜け 一般的な人狼ゲームでは、放置したプレイヤーは『突然死』し、ゲームから追放されます。そのため、占い師などの重要な役職が放置をすると、突然死によってゲームバランスが損なわれてしまいます。そこで、人狼ゲームオンラインでは突然死の代わりに『魂抜け』するようになっています。放置されたキャラクターはNPC(コンピュータ)が引き継ぎ、新たなプレイヤーが参加するまで役職を代行します。 初心者にやさしいゲーム(を目指しています)一般的な人狼ゲームはプレイするために覚えなければならない用語やセオリーが多く、初めての方が遊ぶのは少し大変だと言われています。 そこで、人狼ゲームオンラインは細かいことを気にせずに、気軽に村人のひとりとなって楽しめる環境を目指しています。
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オンライン英会話が好きだからこそ、僕は長期間に渡って レッスンを受け続けております。 好きではなかったら、ここまで長期間に渡って レッスンを受けることができません。 英語の学習が楽しいと感じるようになったのは、 間違いなくオンライン英会話のお陰なのです。 もし、スクールに在籍していなかったら、 今の英語力はもっと飛散なものになっていたので、 本当に感謝しております。 他のスクールに乗り換えることはあるかもしれませんが、 オンライン英会話で勉強を行っていくという点では これからも一緒ですね。
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初心者時代 特筆することは無いです。 初心者島でクエストをやったりして、10Lvになったところでサウスペリから船でリス港口→ヘネシスへ。 尚転職には最低でもDEX25必要になります。 推奨狩場 メイプルアイランド全域 アーチャー時代 ヘネシスでヘレナと会話し転職後すぐ弓を使いたいところですが、威力が無いのでスノーボードなどで地道にあげることを推奨します。 またはデンデンスローを使ってください。 サブキャラだったり、支援がある方はチャリクエで25lvくらいまで上げると楽。 10Lv代 推奨狩場 ヘネシス・狩場1 最下段or2段目 ヘネシス・東の草むら 20Lv代前半 この頃にはクリティカル・ダブルショットorアローブローでそれなりにダメージは期待出来ると思います。 推奨狩場 ヘネシス・豚農場(ミニマップ) スリーピーウッド・ありの巣 上部 火力とプレイヤースキルに自信がある場合 アリアント・サヘル地帯3 20Lv代後半 バトルボウの攻撃速度は"やや速い"なので1次時代の武器を教化するならこれ。 スキルが揃っていればカニングのグループクエストでも活躍できます。 推奨狩場 スリーピーウッド・ありの巣 アリアント・サヘル地帯3 ルディブリアム・テラスホールor空のテラス1 その他 カニング・グループクエスト(遂行可能Lv21~30)
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┏━━━━━━━━━━━━━━━┓ ≪クラス≫:黒アーチャー┣━━━━━━━━━━━━━━━╋━━━━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━┓ 【真名】:アテルイ 【レベル】:80 【アライメント】:秩序/善┣━━━━━━━┳━━━━━━━╋━━━━━━━┳━┻━━━━━┳━━━━━━━╋━━━━━━━┓ 【筋】:60 【耐】:60 【敏】:40 【魔】:40 【運】:10 【宝】:60┣━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┫ 【令呪残数】:☆ 【貯蔵魔力】340/340 【魔力供給の不足】:なし┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫.. . / / | | | ヽ.. . .′ / | | | '... . / / | | | !.. . ′ / ハ | | !.. . ! / ! | | i | ト. | l | |.. . ! ハ | | ト j ! | ! |ハ || | ト、.. . || | トー'^-' `-! L j! ! ! || | ! | ヽ.. . || | ト、! ハ L j! ! ,イ=从 ! ! | '... . || ハ |_ !_ - ヽ | '7'´ ハ _ 从!リ、 !.. . 人|! | | || |て!テう ミ ゞ ' | /.ォ=≡ミ ィ | 丁! ヽ. |.. . / |! トハ || |廴ノこ少 ' ! 'イにぅ少ゞハ ! ト. \.. . ' | || | l! ヽ \ / ' ト | '. ! ヽ.. . i \ | | i! '. / ! ! ! j\! ' ... . | | `ー - __ |下 i! i \ ' ! | V ヽ | ヽ.. . | 丁¨ ''| ∧ハ ノ ノ ヽ / ! || ヽノ \ノ \.. . ヾ \ | ! | i | イヽ ! || ト \ / ' . ヽ.. . '. ヽ ト. ! | i | - 一. .イ , | ! |L j `ー― \ ' ... . \ \. ! | | ! ー ´ イ | |- r'´  ̄ / ヽ ヽ.. . ,.,. \ ヾ! | | !____ ..< ! | 「 | | / '. '... . '"´ \ \j | 厂 ノ ノ ハ | | ′ ! !.. . ! ヾ l \ / / /// ∧ ヽ| | i! ¦ !.. . / V ゝ \ノゝ \ ヽ/ / // .′ / ヽ. ト、 i! ノ ノ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 【スキル】 ○対魔力:C (種別;一般 タイミング:常時) 第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。 大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。 敵陣側の「種別:魔術」のスキルによる「バフ・デバフ」効果を、1つのスキルにつき「±30」分相殺する。 また、「種別:魔術」のスキルによる敵陣の勝率補正を、1つのスキルにつき最大「30%」まで軽減する。 ○単独行動:B (種別;一般 タイミング:常時) マスター不在でも行動できる。 ランクBならば、マスターを失っても二日間現界可能。 このキャラクターの貯蔵魔力限界を「+100」する。 ○心眼(真):B (種別;一般 タイミング:常時) 修行・鍛錬によって培った洞察力。 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”。 このキャラクターは常に「+15%」の勝率補正を有し、必ず最低勝率「5%」が保障される。 ○自己改造:A (種別;一般 タイミング:常時) 自身の肉体に、まったく別の肉体を付属・融合させる適性。 このランクが上がればあがる程、正純の英雄から遠ざかっていく。 1ターンに1度、ターン行動時に使用を宣言することで、自身の全ステータスを「+10」する。 この効果は5回まで累積する。 ○無辜の怪物:A (種別:一般 タイミング:常時) 当時の朝廷にとって蝦夷の軍事指導者であったことから鬼として扱われた。 レベルを除き、真名はもちろん、ステータスやアライメント、全てのスキルと宝具が非開示となる。 ○鬼種の魔:EX (種別:特殊 タイミング:常時) 鬼であるアーチャーの肉体は通常の武装はおろか、神々の武器すら通用しない。 戦闘時、このキャラクターの【筋】【耐】のステータスを2倍にする。 また、このキャラクターに対する数値的ペナルティ、および精神的干渉を無効化する。┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 【宝具】 ○大墓公 ランク:C 種別:対国宝具 タイミング:常時 消費魔力:なし 常時発動型の宝具(一応は制御して発動しないこともできる)。 アーチャーの周囲に腐敗と死の風を撒き散らす。 この風を浴びていると徐々に肉体が弱体化し、やがて死に至る。 敵陣営に存在する全てのキャラクターの全ステータスを「-20」する。 ○悪路王・阿弖流爲 ランク:A 種別:対人宝具 タイミング:クリンナップ 消費魔力:60 幾度も朝廷軍の侵攻を退け、蝦夷の地を守りぬいた英雄の具現。 例えどれほど貶められようともその輝きに翳りはない。 戦闘判定に使う3つの戦力値のうち1つを指定し、自陣側・敵陣側双方の数値を入れ替える。 さらに、追加で魔力を60支払うことで戦力の劣位一つを引き分けにする。┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
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ミリアム・C・タチバナ&アーチャー ◆kiwseicho2 ごめんなさい あなた 私だけまだ 生きていて ごめんなさい。 ◆◇◆◇ 月海原学園、茶道室。 弓道場のそばにひっそりと佇んでいる純和風の庵、 その一室の畳部屋に、一人の女性が抹茶を飲みながら静かに正座していた。 ショートの黒髪から一房だけ桃色の髪房が垂れる。 これといって特徴のない整った顔立ち。服装は着物風の和服。黒の羽織に桜吹雪。 日本人ではない。日系人だ。けれど和服を着ているのは、 彼女の夫もまた日系人で、その彼が日本文化が大好きだったから、だと言う。 「濃いグリーンティーをわざわざ取り寄せて……“少し苦いね”なんて言いながら飲んでいました。 私は苦すぎて、当時は飲めませんでしたね。今思えばあれは、安物だったんでしょう」 「その、君の夫は?」 「イラクで。2年前の春でした」 ゆっくり甘い抹茶をすすりながら語る彼女に、 一畳離れて彼女の対面にあぐらするサーヴァントが小さく問いかける。 返事ははっきりとしていた。が、その声からは擦り切れたように感情が感じられなかった。 サーヴァントは少し眉をひそめた。 不味いことを聞いてしまったか。 しかし、それを見越したかのように対面の女性は笑顔をつくった。 「いいですよ。気にしません。二人とも軍属でしたから、いつかはあるかもしれないと思っていました。 思っていただけで、実際に失ってみると――ひどかったですけどね。でも、あの人は今も、私のそばに居ますから」 すると、ぱきん。 と空中に幾何学の花が浮かんだ。発光する五枚の花弁に数個の輪。平たい桜と水面にも似た何か。 そしてサーヴァントと彼女の間の空間から、ずる。 ずる。と、毛深くてごつごつした“男性の腕”が二対、出現した。 「ジョー・M・タチバナ。私の夫です」 “腕”を彼女は紹介した。 対峙したサーヴァントは何も言わずに眼を見開いた。 人と同じくらいの縮尺を持ったその腕は、優しく彼女の頬に触れる。 その腕をいとおしそうに撫でてから、彼女は“アリスの夢”についてサーヴァントに語った。 ◆◇◆◇ アリスの夢。 そう呼ばれる超能力が彼女の世界で発見されたのは約二十年前からだ。 発現条件は不明。ただし能力に規則性はある。 ひとつ。発動時に“鏡の門”と呼ばれる円環状のヴィジョンを空間に出現させる。 ふたつ。それと同時に、頭にあったイメージの一つを現実空間に召喚する。 みっつ。この召喚できるものは基本的に一人につき一つ。 アリスの夢が発現した時にもっとも強くイメージしていたものが、勝手に能力になるのだという。 「夫が死んだあと……私は眠れない夜を続けていました。 軍から除隊寸前になるくらいに憔悴していましたが、しかしある日、夢を見たんです」 夫の腕に抱かれる夢。 彼女――ミリアム・C・タチバナが見たのはそんな夢だった。 その夢は彼女をひどく安心させて、そして彼女にアリスの夢(夫の腕)を発現させた。 彼女は腕を撫でながら続けた。 「研究の結果、この腕(このひと)はちゃんと生きているそうです。 大きさは自在に。数も体力が続く限りいくつでも。 訓練で、感触を残したまま透明にできるようにもなりました。始点の射程はおよそ30m」 「……まるで武器だな」 「それでも、武器ではありません。……と言っても、嘘になりますね。 軍がこの力に目をつけて、私に訓練を積ませ、武器にした。それはまぎれもない事実ですから」 「嫌じゃなかったのか?」 サーヴァントが問うと、ミリアム・C・タチバナは「もちろん嫌でしたよ」と答えた。 「でも、そうしなければいけなかった。私の力(このひと)の有用性を示して、 この力をもっと研究してもらって――原理を解明してもらって。 そうしてこの、自在の力をさらに高いレベルでコントロールできるようになれば」 腕だけでなく、身体ごと夫を召喚できるかもしれない。 彼女はその可能性に、全てを賭けた。 夫の腕を血に染め、汚し、幼い少女を拘束し、追いつめて、銃で撃ち、 卑しいと笑われても可笑しいと思われても、狂っていると自覚しても。それでももう一度会うために。 「そのためならば、悪魔に魂を売ってもいいと思ったんですよ、アーチャー」 「……じゃあ、聖杯に望むのも」 「ええ。もちろん、夫の蘇生です。 突然こんなところで茶道の講師をしている自分に気付いたときは驚きましたが――、 願ってもない。記憶から本人を再現できるだなんて。まさに私が望んでいた力です」 「……」 「私は聖杯を望みます。 理不尽に奪われたものを、理不尽で取り返す。それだけの話です」 「そのために君は戦争を起こすのか」 「愛娘のためにたった一人で戦争を起こした元大佐に、そう言われても説得力がありませんね」 貴方なら、私の気持ちを理解してくれると思うのですが――。 と、ミリアム・C・タチバナは対峙していたアーミー装備の男に向かって無表情に笑いかけた。 アーチャー……ジョン・メイトリックスは、 そんな彼女の仮面じみた顔の下に押し込められているものを感じ取って、思わず眼を細めた。 この女性はたった一人の家族のために世界を敵に回しているのだ。 そして確かにそれは、メイトリックスがかつて愛娘のジェニーのために行ったことと、寸分の違いもない。 あの時殺し、傷つけた者たちの中には根からの悪人で無い者も居たはずで、 それでもメイトリックスはジェニーを救うためにそれらに銃を向けた。優先順位だ。 優先順位なのだ。 誰もが自分の周りのすべてのものに優先順位をつけて生きている。 そういうしがらみが嫌になって山へと隠れたメイトリックスにさえ、娘という優先順位は残っていた。 それと同じに、彼女の絶対的な優先順位に夫の存在があったとして。彼女がその他をすべて捨てていたのだとして。 他人がそれをどうこう言えるわけがない。それを当人がそう決めたのだから。 「……いいだろう。ミリアム・C・タチバナ元少尉」 だからジョン・メイトリックスは、それ以上彼女の望みには何も言わなかった。 「ミニーCでいいですよ。夫はいつも、私をそう紹介していました」 「そうか。なら、俺もコマンドーと呼んでくれ。コードネームだ。アーチャーよりは聞こえがいい。 こんなふざけた土地で俺の力がどの程度通用するかは分からないが……分かった、君に協力しよう」 「……いいんですか? 私に協力して。 あなたはこう、私と比べると、正義感にあふれているように見えたのだけれど」 「君を守るためだ」 コマンドーはミニーCの目を見て言い放った。 今度は、ミニーCが目を丸くする番だった。コマンドーは肩に銃器を出現させながら続ける。 「俺と同じくらいの大馬鹿野郎である君が死なないようにするためにだ。 どうせ俺が何を言っても君は止まらないだろう。なら、サーヴァントとしての優先順位は、 君を止めることじゃない。君の望む限り君を走らせてやることだ」 「……!」 「きっと神をも殺すような戦いになる。それでも覚悟を変えないなら、ついてこい」 俺が神を殺そう。 短く告げ、障子戸を開けてコマンドーはすたすたと歩きだした。 あっけにとられたミニーCは少し動くのが遅れた。 飲み忘れていた抹茶を急いで飲んで、かつての精鋭部隊の隊長の後ろを追いかけた。 「……ああ、危なかった」 後ろをついてくる“腕”に意識を向けながら、ミニーCはちょっとばかり動揺した。 「ごめんなさい、あなた……。一瞬だけ、彼に見とれてしまったわ」 ◆◇◆◇ どこかで 歯車が狂ったことには とっくに気付いていて それでも 立ち止まれずにいる そんな私を ――彼は守ると言った。 【クラス】 アーチャー 【真名】 ジョン・メイトリックス@コマンドー 【パラメーター】 筋力C 耐久C 敏捷D 魔力E 幸運B 宝具D 【属性】 中立・中庸 【クラススキル】 対魔力:D 一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。 魔力避けのアミュレット程度の対魔力。 単独行動:C マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。 ランクCならば、マスターを失ってから一日間現界可能。 【保有スキル】 騎乗:D 騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み程度に乗りこなせる。 また、騎乗Dで乗りこなせる乗り物ならば、 他者がすでに所有・騎乗している乗り物を強奪して騎乗することが可能。 戦闘続行:A 戦う意思と武器がある限り、戦闘を続行できる。 陣地制圧:A 敵陣地に乗り込んでの制圧戦におけるコマンドー無双の伝説。 作成された陣地、あるいは他者の固有結界の中でのみ、 筋力・耐久・敏捷のパラメーターがAになり、持っている武器がすべてDランクの宝具として扱われる。 【宝具】 『武器庫への扉(ゲート・オブ・コマンドー)』 ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:0 最大補足:0 民家などの扉をコマンドー自身の武器庫、 あるいは米軍の放出品店への扉に変えることができる次元連結宝具。 ここからコマンドーは無制限に様々な種類の銃火器・地雷などを調達することができる。 ただしそれらの銃火器は通常、宝具にはならない。 武器庫に入れるのはコマンドーのみで、3分経ったら出なければならない。 【weapon】 HK91、スペツナズ・ナイフが初期武器。 ここから宝具によってクレイモアやロケットランチャー、バルメM78などを無尽蔵に調達可能。 【人物背景】 かつて精鋭部隊・コマンドーの隊長として名を馳せていた。 軍を退役し愛娘・ジェニーと山荘での静かな生活を送っていたが、 逆恨みによりジェニーを連れ去られ大統領暗殺を強制された事件に置いては、 元コマンドー隊長としての能力を遺憾なく発揮して暗殺を強制したアリアス一味を壊滅させた。 【サーヴァントとしての願い】 ミリアム・C・タチバナ元少尉が満足するまで彼女の蛮行をサポートする。 【基本戦術、方針、運用法】 攻撃が最大の防御。 待ちの戦術ではスキルを生かせないのでガンガン攻めるべきだろう。 任務遂行のためなら略奪も厭わないことは分かっているが、 女子供や戦闘意思のない者も参加者なら殺すかどうかは意見の分かれるところ。 【マスター】 ミリアム・C・タチバナ@アリスと蔵六 【参加方法】 不明。研究機関でゴフェルの木片に触れたか。 【マスターとしての願い】 夫の召喚 【weapon】 拳銃を所持。銃の種別は不明 【能力・技能】 「アリスの夢“夫の腕”」 ミリアム・C・タチバナの夫の腕を創造することができる。 腕の数や大きさに制限はなく、透明化も可能。ただし体力を使う。 体力がゼロになると創造は不可能になる。体力は食事を多量に取ることで回復することができる。 【人物背景】 リュウコミックス「アリスと蔵六」主に2巻で敵として活躍する未亡人。 元軍人で夫を失い、途方に暮れていたところ夫の腕を具現化できるようになった。 腕だけでなく身体を具現化するために、研究施設から逃げた主人公の幼女(なんでも具現化できる) を連れ戻して監禁、容赦なく“腕”で押さえつけたり脚を撃ちぬいたり化け物よばわりしたり 軍人らしい非情さを見せつけた。しかし666の兵器と13の魔道書を具現化する魔法メイドの前に敗れる。 「アリスと蔵六」は日常ものに見えてバトルはチート祭りで、 かと思えば随所に重い設定が垣間見えて中々せつない。ミニーCは出ないが1話が以下で試し読み可能。 ttp //www.comic-ryu.jp/_alice/ 【方針】 聖杯を手に入れる。ジョン・メイトリックスの協力を仰ぐ。 魔力を食料で補えるので、食糧の確保も急務か。